大竹しのぶ 死んでもいい 主演の大竹しのぶの配役に首をひねった人も多かった、92年の作品だ。というのも、公開前は石井隆監督の永遠のヒロイン像である「名美」のイメージに、もう1つそぐわないと思われたからだ。もっとも、実際に観てみれば「食わず嫌いは損」を地でいくような逸品であることがわかるだろう。 大竹、および相手役の永瀬正敏とも、緊張感の高い熱演を見せる。また妻の裏切りに悔し涙をこぼす場面など、観ていて思わずグッとくる、せつない中年男の室田日出男ら、とにかく俳優陣がすばらしい。もちろん、たとえば唐突なクローズ・アップ(トイレの流水口、煙草の火、蛾の死体等)により人物の心理をあらわにするだけでなく、画面にみだらな艶やかさを与えている映像も印象が強烈だ。よく練られた構図や各カットの見事なつなぎ合わせ、果てはちあきなおみの劇中歌にいたるまで、石井監督の確固たる刻印が押されている。
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